盗癖

2021年8月15日

私は女子刑務所や男子刑務所で様々な盗癖の人たちと面接を重ねてきました。

女子刑務所では摂食障害の女性が万引きを繰り返してしまう事例を見てきました。食べては吐く状態で食料品を買うのがもったいないという気持ちからコンビニやスーパーで万引きしてしまう女性です。それまでは親の言うことをよく聞く模範生のような子どもなんですが、それが病気になり変わってしまったんです。摂食障害は、死亡する危険性が高い病気です。ご家族も悩んでおられる方が多いと思います。

窃盗症という本が脚光を浴び、クレプトマニアという言葉が世間で知られるようになりました。私もクレプトマニアだと疑われる女性に何人か会いました。この病気には認知行動療法や行動療法的な対応が一番適しているのではないかと思います。大阪府に結のぞみ病院(旧名 汐ノ宮温泉病院)という依存症や窃盗症の治療を行っている病院があります。条件反射制御法という方法を使って治療していくのです。パブロフの犬の実験のことは皆さんご存じでしょう。行動科学の力を借りて治療していくもので効果があると思います。

男性の場合はどうでしょうか。手癖が悪いといわれる人々、空き巣の常習犯達。彼らにも生活を立て直したいという気持ちはあるのですが、習性化してしまった行動をやめることができず、出所してすぐ空き巣や万引きをしてしまう。支えてくれる人がいないため、自暴自棄になり、事件を起こしてしまうケースが多いようです。大阪府下にある男子刑務所で面接を重ねてきましたが、人生の敗北者のような人たちが多かったように思います。

彼らを立ち直らせるためには、まず信用し、支えてやるような人物が近くにいないといけません。お前のことを見守ってやるから頑張れと声をかけてくれるような人がいるとその人の人生は変わってくるでしょう。

人には話を聴いてやり、励ましいてくれる人がそばにいるだけでその人の行動は変わってきます。やる気がでるし、前向きに生きていこうという気力が出てきます。カウンセリングの目的もそうです。来談者の気力を充実させ、前向きに生きていこうという気持ちにさせることです。そのためには、来談者の話を真摯になって聴かなければなりません。聴くことによって自分の今までの生活を見つめなおすきっかけを与えることになります。

コラム

Posted by エリク