子育て散歩1
私が保護観察中に出会ったお母さんのことを話しましょう。
守秘義務もあるので、詳細には話せませんが、親一人子一人の家庭で、子どもは16歳の少年でした。
お母さんは病気を抱えていましたが、我が子がかわいく、中学生までは子どもはお母さんの言う通り従順にしていたのですが、母親の過保護に反発し、悪友の誘いに乗って夜遊びするようになり非行に走ってしまい、結局少年院に入りました。
母親は幼少時から子どもに自分の言うことを聞かそうと子どもに虐待するようになり、子どもの背中に包丁を突きつけることもあったようです。母親には少年院送致という処分に不満があり、警察に苦情の電話をかけたり、今まで対応していた児童相談所にも苦情の電話をかけ、モンスターペアレントになっていました。
私の役所にも電話をかけてきたり、担当保護観察官の面接の際に苦情を言うので担当官もまいってしまい、当時首席であった私が対応しました。お母さんの気持ちは我が子を手放した辛さにあったのでその気持ちをサポートしました。お母さんの苦労を労いながら話を聴いていきました。
お母さんとは電話だけでしたが、時に2時間に及ぶこともありました。
お母さんが苦情を言うことはなくなり、母親として少年院に入っている子どもをどうやって接すればよいかという話ができるようになりました。
この母親の子どもへの対応は子どもと権力闘争を行なっていたと言うことです。
アドラー心理学でよく言われることですが、親が子どもと権力闘争を行うと大抵子どもが負けるので、その後は、子どもが無視するようになり、親の言うことを無視するようになります。
その後は親への復讐がまっています。この母親の場合は子どもが少年院に入ってしまい、復讐されてしまったわけです。
子どもとの権力闘争を行うのではなく、権力闘争になりかけたら親が一歩引いて子どもに謝ることも大切です。
子どもに謝るなんてとんでもないと思っているお父さん、お母さん、その態度が子どもとの権力闘争なんです。
子どもとは友達のような横の関係でいることが良好な関係づくりに大切なんです。
現代アドラー心理学には子育てに関するヒントが豊富にあります。
ぜひ一度書籍を紐解いてください。
