子育て散歩5
地方更生保護委員会に勤務している頃の話。女子少年院を担当しているときだ。その少年院は大阪府内の住宅街にある少年院で、大阪の環状線の京橋で私鉄線に乗り換えて通っていた。
女子少年院の少年達はスポーツウエアに短髪の少女でやや肉付きのよい子達が多かった。少年院の食事の影響だと思うが、そんな子が多かったように思う。家庭環境は概して悪い子が多い。実父から性的虐待を受けて家を飛び出し、男性から金をもらって生活していたという子。
ある子はSNSで知り合った暴力団員から覚醒剤を注射されて転落していった。
保護者の面会がほとんどない子がいた。少年院でも働きかけるのだが、一向に出向いてこない。見捨てられてしまったのだろうか。少年にとって親の面会ほどうれしいものはない。通常の面会のほか、運動会が開かれた時に面会がある。
子どもが少年院などに入った時に、親の本当の本音が聞こえてくる。
少年達はそんな親の本音を敏感に聞き取るのだ。
あんな子産まないほうがよかった。少年院へ行って楽になったよ。お姉ちゃんの悪影響を妹や弟達が受けなくてよかった。
生まれてこない方がよかったと彼女らに思わせてしまったが最後、彼女らは転落の道を歩む。少年院から刑務所へという道。誰がそんな彼女たちを救えるだろうか。
