前科者に出てくる保護司は本物か
ドラマや映画「前科者」に出てくる保護司 阿川佳代は本当にいるのか。
前科者の中で仮釈放の男が登場する。保護観察所の保護観察官から事件担当を告げられる場面。保護観察官から釘を刺される場面。う~ん、ないと思う。
第一、保護司を保護観察所に呼び出して担当を告げることはめったにない。
大抵は電話で済ませてしまう。保護司には拒否することもできるので、この人嫌だと言えばほかの人に担当をお願いすることになる。
じゃあ、本題に戻って阿川佳代みたいに20代の保護司っているの。
保護司の年齢は委嘱時、65歳以下であれば委嘱できることになっているため、20代
の保護司もいないことはない。しかし、数は多くないと思う。コンビニ店員の保護司も全くいないとはいえないけれど、大抵は女性であれば、主婦、教師などが多いだろう。
保護司になるには生活にゆとりがないといけない。自分が生活するのに精いっぱいというのであれば、保護観察事件を担当できないだろう。
保護司は非常勤の国家公務員で、無報酬ということが言われる。ただし、実費弁償金制度があり、面接などに要したお茶代などは弁償の対象になってくるので、必要経費は支給されることになる。保護観察事件にもA,B,Cの段階があり、例えば報告書の提出1回につき、Aは8000円 Bは6000円 Cは4000円というように処遇の困難度に応じて金額が決められている。この金額は仮の金額なので実際の金額ではない。
阿川佳代はいくらぐらい支給されていたかはわからないが、かなり処遇の難しいケースを担当していたからA支給が多かったのではないかと思う。
また、保護司活動中にケガをした場合、阿川佳代は対象者のところへ向かうのに自転車で転倒して血だらけになったことがあるが、そんな時は公務災害になる可能性がある。
保護司が保護司活動中に対象者から負傷させられたり、死んでしまうなんてことはめったに起こらない。それだけ、保護司さんと対象者の絆が強いと言えるかもしれない。
阿川佳代が対象者に佳代が作った料理、牛丼などを振舞っている場面があるが、それはよくあることだと思う。保護司さん手作りのカレーを振舞っている方もいるし、レストランに連れ出して一緒に食事するという方もいる。法務省ではそのことについて規制したりはしていない。
阿川佳代みたいに自信がなく、気弱な者が保護司になれるかということだが、それはなれるとしか言えない。初めて保護司になった人は、担当する者が前科者で刑務所から出てきたということであればびくつくのは普通の人間であれば当たり前だ。
私も初めて保護観察官になったとき、ある地方の公民館で刑務所出所者 それも殺人事件を犯した人と面接することになり、自分が刺されたらどうしようかとそんなありもしない不安を抱いて眠れなかった記憶がある。
保護司さん、それも女性の方であれば不安を持って当然である。
保護司 阿川佳代は女性の立場から見た保護司の姿を正直に描いていると思う。漫画はまだ読んでいないがぜひ読みたいと思っている。
映画「前科者」より